最低必要な利益を意識していますか?

利益と資金はイコールではない?!
必要最低限の利益は人それぞれに考え方に違いがあるので、ここでは”資金を一定額で維持するために必要な利益”と定義して話を進めて行きます。
ほとんどの場合、決算書に表示されている利益(当期純利益)と資金の増加額はイコールではありません。場合によっては利益が出ているのに資金が増加しないどころか減少するケースもありますし、その逆に当期純利益がマイナス(当期純損失)であっても資金は増加するケースだってあります。利益と資金が一致しない原因は利益計算の中に資金支出を伴わない費用があることと、その逆に資金支出があっても損益計算に反映されない支出があることによります。
このことから、必ずしも”損益がトントンであれば余裕は無くても資金は回り経営は安定している”という訳では無いし、”利益の額がそのまま自社の資金を増やしている”訳ではないを知っておいて頂きたいと思います。
必要最低限の利益を知る
決算書からその年度の必要最低利益がいくらだったのかを知る方法はそれほど難しいものではありません。会計帳簿から必要な情報を確認して計算することが出来ます。まずは必要利益を算定するにあたって企業独自の財務の状況を知らねばなりませんが、ここでは多くの企業に共通するであろう最もスタンダードな状況※1下での方法を説明します。まずは次の2つの金額を調べてみて下さい。
※1 損益計算書に反映されない資金の支出が、借入金の元金返済のみであるという状況
・減価償却費の額(決算書の販売費および一般管理費の内訳と建設・製造業の場合は製造原価報告書も確認してください。なお減価償却費は必ず計上されているとは限りません。0の可能性があります。両方に記載がある場合は合算します)
・その年度に返済した借入金の元金の返済合計額(手形借入の書き換え時に返済した額は除きます)
借入金の元金の返済は法人税等の税金を払った後の利益が原資になるので、資金が回るためには返済額と同額の利益が必要となります。ところが税引き後の利益(当期純利益)の計算に当たっては資金が支出されない減価償却費という費用が含まれているため、決算上算出された利益と増えた資金は減価償却費の分だけ一致しなくなります。これを考慮して借入金元金の返済額とこれに見合う利益(必要最低利益)の関係を計算式にすると次のようになります。
当期純利益+減価償却費=借入金元金の返済額
従って、借入金の返済額から減価償却を引いた残りの額が最低限必要な当期純利益の額となります。この計算の結果、金額がマイナスになる場合もありますが、その場合は利益がマイナスであっても資金が減少しないことを意味します。次に必要最低利益の計算例を示します。
計算例
例えば年間に返済する借入金元金の総額が10百万円で減価償却費の額が年間で3百万円発生する場合に必要な最低限の利益は純利益(税引き後利益)で7百万円(10百万円-3百万円)となります。
もう一例示します。年間に返済する借入金元金の返済が5百万円で減価償却費の額が年間で8百万円発生する場合に、必要な税引き後利益はマイナス3百万円(5百万円-8百万円)です。利益が出ていなくても5百万円を返済するキャッシュフローは出ているという事です。この場合、仮に税引き後利益がトントンの0円だった場合、借入金の返済をしても資金は3百万円増加します。
まとめ
自社の必要最低利益を意識することで、利益が出ているからと安心してしまって、知らず知らずのうちに資金が減少していくというようなことを防ぐことができますし、甘い目標を是正することもできます。また、資金支出や損益計算の関係をよく理解できていれば、必要な資金を獲得するための損益目標の計算や現状の資金の状態からどの程度の赤字まで耐えられるのか?といった数字のシミュレーションをすることも可能になります。
今回は極めてシンプルに借入金の返済だけの場合で必要利益の計算をしていますが、各種引当金の繰入金額がある場合や支払保険料のうち税務上の損金にならない部分を投資等の部に計上している場合など、借入金元金返済額以外にも考慮すべき事項がある可能性がありますので、自社の状況を把握したうえで必要利益を計算してみることをお勧めします。
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