信濃三十三番札所巡り 第7番桑台院
信濃三十三番札所の第7番桑台院は、長野市松代町豊栄にあります。駐車場は無いので山門に向かう石段手前の僅かなスペースに停めるしかありませんでした。周辺は車通りも無くひっそりとしていました。
「虫歌山」という山名や「桑台院」という寺院名が養蚕との関わりをうかがわせる通り、この界隈では古くから養蚕が盛んで「むしおだの観音さん」または「むしうたの観音さん」と親しまれてきたそうです。蚕を病害から守り、養蚕の隆盛を祈願する人々が熱心に参拝し、往時には縁日に市がたち、ごった返す参詣者で歩けないほどの賑わいであったと伝えらています。今の様子からは想像もつきません。
『虫歌』の由来に、信心深い旅人が、無数の蚕の繭の中から響くさなぎの泣き声に驚き、僧を呼んで蚕を供養する堂宇を建てたのが始まりという昔語りも伝わっています。一丈八尺の大きな千手観音は県下最大級のお姿だそうですが、残念ながら拝観は叶いませんでした。
草と苔に覆われた階段を登っていきます。季節柄、蚊が多くて油断できません。
階段を登っていくと山門が見えました。
立派な山門です。扁額には大悲門とあります。
山門にはこのような立派な像が
山門から更に石段を登ります。
多少雑草は生えているものの、無住の寺にしては良く手入れがされています。地域の方の進行の篤さを感じます。
石段を登った先に観音堂が現れます。
観音堂の左手にある石段を登ると外陣へあがることができます。堂は意外に奥行きがあり、吹き放ちの外陣(左)だけで4間もあります。
このように前方が張り出した構造を懸造(かけづくり)というのだそうです。年代特定の手がかりが無いため造営年は不明ですが、江戸中期以降のものと思われるようです。