記帳代行とは何か? 

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記帳とは何か? ~その目的~

法人が事業を行えば必ず決算と税務申告が必要になります。決算は利害関係者のため、税務申告は納税のために行う訳ですが、いずれも法律でやる事が規定されています。

税務申告は決算で得られた情報がベースになりますので、決算が行われることが法律で規定されたことを実行するための大前提になります。この決算とはすなわち事業年度の利益と財産状態を計算(確定)することですから、それは日々刻々と行われる事業活動を記録して、分類・集計することにより行われます。

この日々刻々と行われる事業活動を記録することを記帳と言います。ITの発達により、帳簿に手書きで書き込むというような従前の記録方法はほぼ無くなり、会計記録用のソフトにデータを入力するという方法で記帳が行われます。

記帳の主な目的とは、正しく決算を行うことに集約されると言って良いと思います。

会計知識なしに記帳は可能か?

記帳は日々刻々と行われる事業活動を記録することです。前項で述べた分類・集計と言う作業は会計用のソフトがやってくれるので、人がやるべき作業は記録(データの入力)です。

この記録と言う作業に専門知識が必要か?という疑問の回答としては、”絶対に必要である”です。この専門知識が必要になる部分をできるだけ軽減するように会計用のソフトは様々な工夫をしていますが、結局のところ解決はできていないので正しい記帳をするためには専門知識は欠かせないのが現状です。

会計を行うための専門知識とは、事業活動の一つづつに対して”仕訳”を行うために必要な知識で、簿記会計の知識を指す訳ですが、”仕訳”とは事業活動で行われる取引が損益や資産及び負債をどのように変化させるのかを指定するもので、一般的には借方○○○貸方○○○と言うような簿記会計独特の表現が使われます。

従って、会計の専門知識とは、この独特の表現を理解することの他、そもそも会社の行う取引きが損益・資産・負債をどのように変化させるのか?と言った会計理論の理解も必要になります。

AIが記帳を行う事は可能か?

AIが記帳業務を行う事はできるのか?という疑問に対しては、AIに対し事業活動の内容やその背景など記帳のために必要な情報を日常的に提供する仕組みは今のところ有りませんので、現状ではAIに与える情報不足という理由で記帳代行を任せることは難しいと思います。

試しに、”取引先と行った飲食代を現金で支払った場合の仕訳は?”というような単純な質問では正しい回答が得られましたが、”取引先と行った飲食代をPAYPAYで決済した場合の仕訳は?”という回答に対しては一般論的な回答しか得られませんでした。

会社が独自に定めたルールを前提に会計の処理を行う事は良くあることですが、AIにはこの情報が無いため的確な回答が得られのないのは当然です。会社独特のルールの情報や取引が行われた事情などをAIに提供した上で会計処理をさせれば、専門知識が必要な作業をAIに任せることが可能になるかも知れません。

記帳代行のメリットとデメリット

記帳代行とは記帳業務を外部に委託することを言い、記帳代行を請け負う業者は、会計事務所(税理士)や専門の代行会社になります。そのメリットは次のようなものになります。中小零細企業や起業間もない企業では、そもそも人材不足により会計業務は外部に委託せざるを得ない状況が多く見られます。

  • 業務の負担が軽減される
  • 高い専門性により知識不足によるミスや税務リスクを減らすことができる
  • 不正な処理の防止に役立つ
  • 経営判断に有用な情報の提供を得られる(管理会計を採用している場合)
  • 経理スタッフの採用費用や教育にかかるコストを削減できる

一方で記帳代行によるデメリットには次のようなものが考えられます。特に情報提供のタイミングでは、”遅くて役に立たない”という不満が多く聞かれます。

  • 社内にノウハウが蓄積されない
  • 業者選びが難しい
  • 会計事務所への委託では管理会計の視点に欠けることが多い
  • 情報の社外流出の心配がある
  • 情報提供のタイミングは委託先の都合に左右されがち

まとめ

中小零細企業や開業間もない企業にとって記帳業務は大きな負担になります。人材難でスタッフの採用は簡単ではありませんし、教育にはかなりのコストや時間が必要になる上に、経営者にはそもそもどのような教育を施せば良いのかも分からないことが多いので、自社で処理をするのは中々ハードルの高いものになります。

これを状況を前提にするなら、迷わず外部のリソースを活用するのが正解でしょう。コストの問題は大雑把に言えば、結局のところ社員に払うか外部に払うかの違いだけですし、こまめにコミュニケーションが取れる委託先を選択すれば、経理専門スタッフを雇用しなくても不便の無い体制を作ることは難しくないと思います。

ただし、デメリットにも記載した通り、決算や税務申告のためだけでなく、経営判断に有用な情報の提供を必要とする場合、委託先として安易に会計事務所を選ばずに、管理会計の視点を持つ委託先の検討をお勧めします。会計事務所は税金の計算と申告をすることが主な仕事ですから、管理会計の視点からの記帳代行は苦手なことも多いためです。

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